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この国から出兵した若者達も相当亡くっているそうだ。だが、特に誰も悲しいとは思わなかった。ニュースでの扱いも粗末で、交通事故程度にしか語っていない。もう慣れきっていることなので、これが普通の反応なのだ。最前線の防衛さえできていれば、何ら問題はないのだ。
第五工場では、運ばれてきたクローン人間が別の工場で生産された武器を手に戦闘訓練を行っていた。元々、戦闘に関する知識だけを詰め込んだ連中だ。戦争に対す恐怖心、不信感、不満など持ち合わせていない。彼らはただ、上からの命令に従って出撃していくだけ。
そんなクローン人間の兵士の中に一際、若いグループがいた。彼らは数年前に工場見学に訪れた小学生のDNAから生み出されたクローン。工場長は順調に育ち、近い内に戦地に出荷される彼らを見て笑みを浮かべた。
「よしよし・・・。いい感じだ。きっと、明日来る中学生達は喜ぶことだろう。自分達の代わりに戦争へと行ってくれるもう一人の自分が、ここにいるのだから・・・」
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