夜行バス

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「オタクコンビ?」 はてなマークをもう3、4個連(ツラ)ねたいくらいわけがわからなかった。 『そうだよ。オタクコンビ。』 相変らず果歩は軽い。 『あの頃さ、奈々と小坂くんて本の話ばっかりしてたじゃない?』 「そうだけど…。」 『あれさ、みんなで遠目にちょっと白い目で見てたんだよ。』 果歩はクスクス笑った。 「うそ!?そうだったの?白い目って、ひどいじゃん!」 『ごめん。ごめん。半分本当で半分は嘘。』 「どういう意味よ?」 『同じ部活の子に聞いたけど、その話をし始めると周りを寄せ付けない雰囲気があったみたいよ?二入だけの世界って感じで近付けないって言ってたもん。』 「たしかに…本の話をする時は…。」 後に続く言葉を微妙に濁(ニゴ)す。 …誰にも邪魔されたくなかった… なんて言えないから。 『あの頃さ、小坂くんてモテたじゃない?』 「まあ…そうかな。」 『“オタクコンビ”って、ヒガミ女子が付けたあだ名だよ。二人の。クラスが違う私だって知ってんだから、奈々、相当僻(ヒガ)まれてたんじゃない?』 「嘘…。全然知らなかった…。」 それは本当だった。 あの頃の私は何も気付いてなんかいなかった。 『じゃあさ、これにも気付いてないんじゃないの?』 「何?まだ何かあるの?」 『“ナオトくん”。彼をこう呼んでるのも奈々だけだったけど、小坂くんが名前で呼んでた女子ってたぶん奈々だけだよ。』 「え。」
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