第1話

3/9
前へ
/9ページ
次へ
ツンツン……ツンツン…… 誰かが俺の頬っぺたを不規則に突っついてくる。 「拓く~ん……阿多拓(アタ タクヤ)君、朝ですよ~、って…ベタすぎるか。」 ん?この声は…… 俺は眠気を必死に押さえて、声の持ち主に声をかけることにした。 「香奈か……」 「あっ起きたか、もうお昼だけど食堂に行く?」 俺は壁にかけてある時計を見た 「もうそんな時間なのか…」 講義もすっかり終わっており、教室にいるのは俺と香奈だけ。 寝すぎたか……。 俺がそんなことを思っているうちに、香奈はボーッと窓の外を眺めている。 キレイだなぁ~… 香奈は俺の視線に気付き。 「どうしたの?まだ眠いの?先に行っとこうか?」 彼女は可愛らしく首を傾げて聞いてきた。 香奈は人に何かを聞くときに首を傾げるクセがある。 本人は恥ずかしいから直したいと言っているが、俺はそのクセが好きだった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加