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「なんてことすんだお前!! せっかく俺が手間暇かけて書いたものを……!」
「だって、クソほどつまらないんだもの。これだったら犬の糞でも眺めていた方がまだマシな暇つぶしができるわ」
「そこまで言いますかフツー!? これ俺がはじめて書いた小説ーー」
「こんなものを小説と呼ぶのは小説家の皆様方に大変失礼よ。はい、というワケでサヨナラー」
自分が自信満々で書いた小説を、鼻で笑われた挙げ句ビリビリに破り捨てられてしまった太陽は、涙目になりながらも必死にかき集める。
そんな無様としか言い様の無い彼に対し、かき集めていた小説の破片をはたき落とされる。
「うぉぉぉい!? マジでなんてことしてんだ柊! ……って、ああ! 待って! 飛んでいかないでくれぇ!」
風のせいでバラバラに飛んでいく自分の努力の結晶を。【大葉太陽】は涙ながしつつ太陽に吼える。
「オレの『夢』がぁぁ!!」
いくら同じ名を関する銀河系の恒星に吼えようが、無駄な労力だけを払って完成させた努力の結晶が元に戻るわけでもなく、ただ悲痛な叫び声が響き渡るだけだった。
なんでこんな事になったのか。
太陽は、泣きながらこうなってしまった経緯を頭の中で辿っていく。
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