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20XX年、5月2日の火曜日。
今日は太陽の記念すべき16回目の誕生日であり彼は少し……いや、かなり浮かれていた。
学校の友達からはたくさんのプレゼントをもらい、女子からは「私と誕生日を共に過ごしませんか……?」という告白を受け、それに便乗したクラスの女子達からも告白を受けた。
これで浮かれない者はそうそういないだろう。
元々太陽は「イケメン」に分類されるタイプであったため、モテるべくしてモテたと言ってもいい。
だが、そんな彼の近くにいる一人の少女の影響により、声をかけてくる女子というものが限りなく少なかったのだ。
明らかに堅気に向ける雰囲気ではない、邪悪な波動を感じたからだろう。
しかしそれが、今回は無かった。
というより太陽自身の誕生日だというのに、「自分が前だって独占するのはおかしいか……」という自問自答の果てに、こうした他の女子との接触を許したのだが、『これが悪かった』。
もちろんそれは太陽にとっても、柊と呼ばれた少女にとっても。
柊からしてみれば、目の前で好きな男が他の女にうつつを抜かしているのと同然の光景なのだ、当然気分が良くなるはずもない。
そして、結果として太陽も柊の逆鱗に触れてしまい、挙句彼女が怒っているのかどうかさえも理解できずに、書いた小説を破り捨てられている。
互いに得をしない結末を迎えているのだが、互いが納得するかと問われればそれは違う。
自分の思うがままにペンを走らせ、わざわざクラスメイトの【月影柊】の家にまで自転車で読ませにきたというのにコレだ。太陽が納得できるような道理など何一つ無いだろう。
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