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__ああ、わかっているさ。君のその無念も、俺の抱く「世界の変革」も。__
__必ず俺が叶えてやろう。何年、何十年、何百年、何千年。ーー何億、何十億、何百億と掛かろうとも、必ず。__
そう堅く決心する。この世界を変えるのは俺だと。そう認識する。
彼は奪われた。自らの信ずる志を。尊敬していたはずである『神』からの信頼を。
ーー何よりも、信じてきた、共に戦ってきた『力』そのものを。
『神』という存在に、その全てを。
『 』には夢があった。『 』には希望があった。『 』には信じていた世界があった。
それら全ては虚無へと失せた。
「……フフッ、フフフ。カッコいいじゃないか、『 』。やはり君を選んで正解だった。君になら、このふざけた世界を、塗り替える事が可能だろう」
天使だった少年は笑う。黒く汚れた翼を揺らし、少年の元へと歩み寄る。
「では、任せるよ『 』。この世界ーーいや、全世界は君のモノだ。好きに作り替えるといい」
__ああ、任せてくれ。必ず俺は、この世界を再び色のついた輝かしい世界へと変えて見せるさ。それが君との約束。そして、使命だ。__
互いに固く握手を交わす。
認め合う人と天使。
人を止め、天使としての力を失った、『互いに信じていたモノから全てを奪われたモノ同士』。
利害の一致などでは無い。互いの夢が重なった。
奪われたモノを取り返す。全てを奪った者への復讐を遂げる。
人であったモノと、天使であったモノ。
彼らは夢のために歩み始める。
新たな『世界の変革』へとーー。
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