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「・・・・・・・・・」
ファーラは腰をついたまま、ひたすら呼吸をしていた。背中が汗でビチョビチョだ。気持ちが悪い。
「・・・・・・・・・」
落ち着いてきた頃、新たな感情が表れた。殺してしまった。人ではないけれど・・。自分の手で、殺してしまった・・・。ファーラは剣を握っていた右手を見つめる。大きく震えていた。ファーラは、震える右手を左手で抑えた。震えが止まらない。
突然、ポンと右肩を叩かれた。ミロラがしゃがんで目を合わせてきた。
「意外とやるじゃないか。やくやった」
彼はとても優しい目をしている。
「で、でも・・殺したんだよ。僕が・・」
声も震えていた。ミロラは明るく笑った。
「忘れたのかい?ここはゲームの世界だよ。相手は生き物なんかじゃない。君だって、コントローラーでプレイしていた時、平気に敵を切っていたんじゃないの」
「・・・・・」
確かにその通りだった。プレイしている時、多くの敵を惨殺している時の快感を思い出した。だけれどいざ自分が本当にそうしていると、何かおかしな感覚ではある。
「さあ、立って!もたもたしていると、次の敵にやられてしまうよ」
ミロラは立ち上がり、右手を差し出してきた。ファーラは、まだ震えている右手を差し出し、ゆっくりと立ち上がった。
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