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自分に動揺してる…… いくらなんでも 衝動的に手が出てしまったのは まずいだろ……? ストーカーがどうの心配する前に 自分を心配しないと ……それこそ犯罪者だ でも…… 自分の周りの景色が真っ白になり ……ハル以外見えなくなった 一瞬で吸い込まれた ………あの大きな瞳と柔らかそうな唇 コホン…… 明日の件は帰り道に話すとしよう 外に出てマンションに向かって歩きだすと 嵐の前っぽい湿った風が吹き出した 春なのに冷たい風だな…… 冬に戻ってしまうのか? ゴロゴロ鳴り出し あっという間に スゴイ雨になってしまった うっわーーー! ヤバい……… またもや衝動的に彼女の手を掴んで マンションに向かい走る 稲妻が空を縦に割る ……瞬間 耳が壊れるかと思う 雷の激しい轟音が落ちてきた 彼女が足を止めた…… ………もう走れない? また光った…… ………ハル、もう少しだから 雨は容赦なく叩きつける ハル? ごめん……怖いよな…… ジャケットを脱ぎ 頭にかけてやり 彼女を大切に包み再び走り出す マンションが見えてきた とりあえず屋根は確保出来たが 雨は色んな方向から打ってくる 無意味な雨宿り 中から警備の人が 俺を確認し『待ってろ』と手のひらで制止 タオルを持って こっちに来てくれた 追い討ちをかける稲妻 閃光にしゃがみ込む怯えた子猫 もう大丈夫だから……… 早く震える子猫を暖めてやろう
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