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生まれて初めての力仕事だったが、非力ながらもこの1ヶ月間必死にやってきた。
自分のミスが周りに迷惑を掛けている現状を申し訳ないと思うし、十分に焦りも感じている。
しかし、断じて私の飲み込みが悪い訳ではなく、痛くて手が思うように動かないのだ。
きっと腱鞘炎なのだろう。
「アンタのその細い腕じゃ無理だよ。他のパート考えてみたら?」
丸太のような腕をした沢登が、3段目に詰まった紙を引きずり出しながら言う。
この仕事を辞める訳にはいかない私の事情を知ったら、同情してくれるだろうか。
「大貫さんと変わってトントンしてちょうだい」
「スミマセン」
10枚の紙幣をまとめる際、9枚を横から1枚で挟み込むあの形で、1組になったチラシが機械から出てくる。
その10数組を両手で掴み、フライパンを煽るようにして作業台に何度か叩きつけ、チラシを揃える仕事がトントンだ。
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