第1章

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 生まれて初めての力仕事だったが、非力ながらもこの1ヶ月間必死にやってきた。  自分のミスが周りに迷惑を掛けている現状を申し訳ないと思うし、十分に焦りも感じている。  しかし、断じて私の飲み込みが悪い訳ではなく、痛くて手が思うように動かないのだ。  きっと腱鞘炎なのだろう。  「アンタのその細い腕じゃ無理だよ。他のパート考えてみたら?」  丸太のような腕をした沢登が、3段目に詰まった紙を引きずり出しながら言う。  この仕事を辞める訳にはいかない私の事情を知ったら、同情してくれるだろうか。  「大貫さんと変わってトントンしてちょうだい」  「スミマセン」  10枚の紙幣をまとめる際、9枚を横から1枚で挟み込むあの形で、1組になったチラシが機械から出てくる。  その10数組を両手で掴み、フライパンを煽るようにして作業台に何度か叩きつけ、チラシを揃える仕事がトントンだ。
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