吐愛の果 １話

第１章

　丁合機には２３枚までの広告がセットできるので、１回戦というのは広告の種類が２３種類以内、２回戦だと２４種類以上４６種類以内、３回戦ということは４７種類以上あることを意味する。

　１回戦の場合、各配達員は翌朝の朝刊到着後、テレビ欄の部分にそれを挟む作業を行ってから配達に出る。

　２回戦以上の場合、夕刊を終えた配達員達は、自分の担当区域のロッカーからチラシを出して作業台に積み上げ、右手から左手へと流れ作業でそれらを組み合わせて一組にし、再びトントンして翌朝の朝刊に備えなければならない。

　１３区域もあるのでチラシの出来上がりには当然時間差が生じる。

　早くも作業に取り掛かっている配達員もいれば、３回戦目の出来上がりを待っている者もいる。

　なので私が迷惑を掛けるのはパートのメンバーだけではなく、配達員達に対しても同様であり、その両方からのプレッシャーを日々感じているのである。

　配達員達は、皆一様に寝癖も気にせず無精髭が目立ち、ジャージ姿の冴えない男達ばかりだ。

　近寄ると汗臭く、その口から出てくるのは決まって下品な言葉と悪臭で、恋愛対象としてなど見れたものではない。