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「んじゃ一度帰るわ。病院行かないといけないし。」
本日最後の授業終了のチャイムが鳴り、学生達の待ち望んだ青春に満ちた放課後になる。
保健室の真横に設置されているロッカーに生徒達は殺到し、帰宅する者や部活動、仲の良い者同士で寄り道する者達がロッカーから中庭へ、グラウンドや校門へと進んでいく。
「おう。病院終わったら真っ直ぐ来るか?」
「病院行ったらスーパー寄ってから行く。テツはどうする?先に行っとくか?」
保健室のベッドで寝ていたテツは体を起こして眠たげな目を向けてくる。
「んにゃ、ミコト姉ちゃん家居ても麻雀しかする事ねぇし。最低でも三打ちじゃなきゃなぁ。」
「分かった。んじゃ適当に買い物済ませてから行くわ。」
保健室のドアを開き、廊下へ。生徒達の波は継続中。
「おーう。裕美(ヒロミ)ちゃんにヨロシク。」
「たまには顔だすかなー。今日は眠いから行かないけど。」
先生はコーヒーを啜りながら、テツは何故か腹筋をしながら返答してくる。
「んじゃまた後でな。」
保健室のドアを閉め靴を履き替え、そのまま中庭を進み校門を抜ける。
「もしもし親父か?今日はミコト先生の家で飯食うから。一応晩飯は.......ぁ?外食すんの?なら作らねぇでそのまま行くわ。んじゃな。」
携帯で親父に連絡し、通話が終わった携帯をポケットへしまう。
そのまま歩調を少し早めて病院へ。
「ちょっと伊勢くん。」
にしても酒に合う料理かー。今日の特売なんだっけなー。
「伊勢くん。伊勢くんってば。」
あ、食材何が残ってるか聞くの忘れてた。メール、メールっと。
「聞きなさいよこのボケっ!」
後ろから着いてきていた女子の前蹴りを大きく一歩進む事で回避する。
「あ?委員長か。何か用か?」
振り向くと我が二年一組の学級委員長が膝を抑えて座り込んでいた。
「痛たたたっ!膝挫いちゃったじゃない!」
「知らん。俺は何もしていない。んじゃあな。」
座り込んでいる委員長を無視して病院へ向かう。
「ちょ、こら!待ちなさいよ!って歩くの早っ!?放置するなーー!!じゃなくてちゃんと授業出なさいよーーー!!!」
何やら遥か後方で叫んでいる委員長を無視して角を曲がる。
どうやら授業をサボる事について文句が有るようだが毎日の日課の様なモノなのでスルーさせて頂く。
病院はもうすぐ目の前だ。
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