7人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
道華(みちはな)学園高等部校舎ホームルーム棟屋上にて伊勢 裕一(いせ ひろかず)は悪友の鹿児 鉄陽(かご てつはる)と煙草をふかしていた。
「は?お前の父さん再婚すんの?」
今朝親父に聞かされた事を伝えるとテツは床に横たえた体を起こしながら聞いてきた。
「あぁ。結婚相手は三重 晴美(みえ はるみ)て人らしい。」
「へぇ。美人かな?」
何やら興味を持ったらしく、神妙な顔で考え込んでいた。
「俺としてはどっちでも良いわ。」
吸い慣れた銘柄の煙草の灰を落とし口に直す。
「んだよつまんねーな。ヒロの義母ちゃん綺麗な人だといーなー。」
何故そこまで美人にこだわる。
「いや、俺の義母が美人だろうとテツには関係ねぇだろ。」
「何言ってるんだお前?友達の母親とのイケナイ情事なんて興奮するじゃん。」
テツは普段とは違うメンソールの煙草を唇に挟んだまま再び床に仰向けに転がる。
「よし、お前二度と家来んなよ。」
どんな義母かは知らんがこんな変態は連れて行けん。
「ヒロ、義母との背徳プレイも興奮するが独り占めは駄目だぞ。」
どんな勘違いだ。
「よし、お前二度と話しかけんなよ。」
そんな思考回路を持った友達は要らん。
「なんだよー。思春期男子なら皆憧れるだろー?母性溢れる美人に熟れた体で優しくリードしてもらうんだよ。『普段はこんな女じゃ無いのよ?』とか言いながら淫らに調教されるんだよ。そんな想像しただけで.......俺は!俺はッッ!!」
「ふーんキモ。」
やたら鼻息を荒くしたテツは何故か手を使わずに頭でブリッジを始めた。
「駄目ですよお母さん....貴女には夫が......うはっ妄想が止まらねぇッッ!!」
テツが現実世界からログアウトしました。
「今日も平和だ『そこらめぇぇええッッ!!?』な。」
変態は放置するに限る。触らぬ変態に祟りなし。
態々変態が潜む藪をつつく事もしない。
「アンタ達ッッ!!またこんな所でサボって!!一限目とっくに始まってるわよ!」
隣の変態を視界に入れない様に青空を見上げ深く吸い込んでいると勢いよく屋上の入口が開き、白衣を着た北海 美琴(きたみ みこと)が入ってきた。
「なんだミコト先生か。おっす。」
しかし姿勢を変えずに朝の挨拶。
「おはようヒロ。貴方達はこんな所で何してるのかしら?」
最初のコメントを投稿しよう!