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「不覚だわ。んなクソガキにあしらわれるなんて。蹴りもなんか鈍ってたし。」
先生は溜め息を吐きながら俺の手から煙草を奪い取りパッケージから一本抜き取り火を着ける。
「アレで鈍ったとか冗談だろ?流石は元総長。」
今でこそ学校の保険医だがミコト先生は元暴走族の総長だったらしい。
小学校の頃、テツの家に遊びに行った時、純白の特攻服(所々に謎の赤い染み)を着たミコト先生が写った写真を見せてもらった事がある。
「その話はすんじゃねーよ。もう脚洗って更正してんだからよ。」
本人にとっては恥ずかしい過去らしいが。
「んで?結局、新妹の事はどーすんだ?まぁどーするもこーするも気持ちの問題でしかねぇけどよ。」
まぁ確かに俺の気持ちの問題でしか無いのだが。
「.........もう俺も高校二年だしな。あまり干渉し過ぎないように距離置いて接するわ。それが互いに無難だろ?」
相手から何か接して来ない限りは不干渉なのが良いだろ。
相手も高校生だしな。年頃の娘って奴だし。
「最初はそんな感じで良いんじゃねーの?お互い距離図り合ってから縮めるもよし。離れるのもよし。なんか有ったら直ぐに相談しに来なよ?これでも先生なんだからね。」
「サンキューな。ミコねぇ。」
気付いたら先生の事を昔の呼び方で呼んでしまっていた。
「お、なんか懐かしい呼び方だね?いつ頃から聞いてないかね?」
昔の呼び方が嬉しかったのか笑顔を浮かべながら煙草を吸う。
「高校入学してからだから丁度一年くらいか。」
少し昔を思い出しながらミコ姉を見る。
「そいや何で呼び方変えたんだよ?これでも先生なんて呼ばれて距離感じてたんだぞ?」
先生は少し拗ねた様な表情でフェンス越しに校庭を眺める。
先生の外見とその表情が合わさり同い年の女の子にしか見えない。
「さぁなんでかな。気分的なもんかもな。」
「なら呼べよー。まだ若いって実感出来るのによー。」
先生はまだ校庭を眺めながら缶コーヒーを飲んでいる。
しかし、どうやら空になったらしく、前屈の様な動きで床にゆっくりと缶を置く。
「まぁたまには良いかもな。学校では嫌だけど。」
「んだよケチ臭ぇな。.....っと。チャイムだ。ヒロはどうすんだ?授業戻るのか?」
「いや、今日は一日サボっても単位に影響無いからな。」
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