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「どうして…泣いてるの？」
志樹はハッと目を開かせた
そして涙を拭う
「ボク…泣いて…？」
一瞬動揺の表情を見せたが、すぐ元に戻っていた
そして、無表情のまま
ゆっくりとも速いともいえぬスピードで手を伸ばしていた
「椿さんっ…！」
それは椿さんの方へ伸びていて、今にも後ろへ押そうとしていた
気づけば私は志樹を抑えていた
「沙月！」
「沙月っ…離せ！コイツさえ居なければ」
私を離そうとする志樹を必死に抑える
けれど、力の差は激しく
彼を抑えていた私の手は外された
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