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木曜日
私はお母さんの運転する車で、妹と一緒にカラオケに来た。かなり久しぶりかも。
受付を済ませて部屋に行くと、一品だけ料理を頼んだ。
そしてそれから雑談などもしながら、あっという間に5時間が経過した。
「そろそろ帰ろうか」
後半はほとんど喋っていたけど、結構楽しかった。
「うん、そうだね」
私達は会計をして、外に出た。
「お腹空かない?」
「空いたー」
私の問いに妹が答えた。
「ケーキでも食べる?」
「良いね」
私達は駅に向かう途中のケーキ屋さんに寄って、1つずつ好きなものを食べた。
「あ、バス」
会計を済ませて外に出ると、ちょうどバスが来た。
帰りは自分達で帰ることになっていたから、駅行きのバスに乗った。
「あ、メール」
私は携帯のバイブレーションに気づいた。
取り出すと、お母さんからだ。
じいちゃんの容態が急変したから、病院に行くね。
ご飯はできてるから、自分達で食べて。
私は了解の返信をした。
「何?」
「じいちゃんの容態が急変したって」
「そっか…」
カラン
何かの落ちる音に、足元に目をやると、ボタンが落ちていた。
「え、ボタン落ちた」
それは私のジャケットに付いていたやつだけど
…。
「嘘、こんなところ、使ってないのに」
場所を特定すると、そこは一度も使ってないところだった。
この状況でこの事象は縁起が悪すぎる。
「うわ…」
妹も顔がひきつっていた。とりあえずボタンは鞄にしまった。
私達は電車の中では、何も話さなかった。
何となく重い空気があって、話すことが憚られた。
そして自宅の最寄り駅に着き、降車する。
自宅に着き、鍵を開けようとした時だ。
カチャン
金属音と共に、キーケースから鍵が落ちた。
「えー!」
それは二人同時の声だった。もうなんか、ダメな気がする。
簡単に落ちる様なタイプじゃないのに…。
「とりあえず、入ろうか」
私達は家に上がった。
「………」
「………」
二人共、何も話さない。二度も落ちないものが落ちれば、気持ちも沈む。
19時頃になって夕飯を食べて、普通にお風呂にも入って、普通に就寝した。
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