第2話 失われるもの

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家に戻ると、彼から連絡があった。メールを開くと 月曜日さ、俺の親戚の叔父さんに会うことになってるんだけど、一緒に行ってくれる? とあった。私は了解の返事をすると、お風呂に入った。 「結香」 「何?」 さっとシャワーを浴びて出ると、お母さんが洗濯物を干しながら言った。 「じいちゃんが具合悪くてさ、入院してるんだけど、多分もう、先長くないんだよね…」 「そうなの?じゃあ、近いうちにお見舞い行かないとね」 じいちゃんはお母さんのお父さんで、私に子どもができたことも知らないだろう。 「モルヒネ投与されてるから、朦朧としてるかもしれないけどさ、たまに話できるとは言ってたから」 「分かった」 私は彼にまたメールをした。 じいちゃんが具合悪くて、入院してるんだって。 モルヒネ投与されてるってから、ガンだと思う。 もう先長くないらしいから、近いうちにお見舞い行きたい。 すると、すぐに返信が来た。 分かった。じゃあ月曜日、俺の叔父さんに会った後で良い? うーん、病院遠いんだよな…。中央病院はここから車で2時間位のところだ。そのことを伝えると 大丈夫。朝9時位の約束だから、それから行っても昼頃には着くよ そ れなら大丈夫か…。私は了解の返事をした。 じいちゃんは前にも食道ガンを患っていて、恐らくそれの再発だろう。 ひ孫ができたなんて聞いたら、喜ぶだろうな…。 ばあちゃんが亡くなってから11年。ずっと一人で淋しかっただろうな…。 これで少しは元気になってくれると良いけど。
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