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「ねぇ、14日って何かあるの?」
私は車に乗り込みながら、彼に聞いた。
「ああ、大祭(たいさい)」
「タイサイ?」
宗教行事だろうか?
「皆でお参りして、宴会やるの」
「宴会…?」
なんか、思ってたのと違う。
「だから昼が遅くなると思うし、お参りの間は暇だから、軽く何か食べておきなよ」
「うん…?」
よく分かんないけど、軽く何か食べておけば良いのね。
「で、中央病院だっけ?」
「そう」
彼はカーナビで入力し、ルートを検索した。
「よし、じゃあ行こうか」
「うん」
ここから車で2時間のちょっとした旅だ。
幸い平日だから、混むことは無いと思う。
お正月だと、初詣の参拝客で大変なことになるから、絶対に通ってはいけないルートだ。
「具合は大丈夫?」
「平気だよ」
しっかり朝食を食べたから、まだお腹は空いていない。
ただ、車酔いもしやすくなってるから、気をつけないと。
「気持ち悪くなりそうだったら休憩するから、早めに言ってね」
「分かった、ありがと」
車は田んぼ道を通り、川沿いの道に出た。
そのままずっと川沿いを東に向かって行く。
そして海が見えてきた頃、右に曲がって市街地の中へ。
さらにその奥の商店街を 抜けると、ようやく病院に着いた。
「うーん」
私は病院の駐車場で、背中を伸ばした。
「お疲れ様、大丈夫?」
「うん、行こう」
私達は病院の中へ入った。受付を通り抜け、階段脇の通路の奥のエレベーターに向かった。
病院は日曜日が休診だから、月曜日は混む。
しかもこの辺りの総合病院といえば、ここしかない。
だから余計に人がたくさんいて、エレベーターにもなかなか乗ることができなかった。
B1~F12階までを3往復したところで、ようやく乗り込むと、じいちゃんの病室がある11階を押した。
フワっとする嫌な感覚を乗り越えると、あっという間に11階だ。
降りてから、ナースステーションの前を通り、一番奥がじいちゃんの病室。
一応、個室みたいだ。ちょうど掃除の人がいたから、それが終わるのを待ってから入ると、私の叔父さんがいた。
「お、じいさん、結香だよ」
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