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私はお母さんと一緒に、夕飯の支度を始めた。
これも花嫁修業の一環だ。いざ結婚してから料理ができないんじゃ困る。
できれば美味しいものを食べさせてあげたいし。
今日はカジキの煮付けだ。柔らかく作るのは意外と難しい。
「こんなもんかな?」
あとは余熱で何とかなるだろうと思って、火を消した。
「できた?」
「うん」
「じゃあ、ゆっくりしてて良いよ」
私はリビングの座椅子に腰掛けた。全然分からないけど、私のお腹にもう一人いるんだよな…。
明日は検診に行くから、少しは実感が湧くかな?
それから数時間後、食卓には私が作った魚が並んでいた。
「美味しいー!」
妹が幸せそうな顔で言う。
「うん、ちゃんとできてるけど、柔らかいし」
お母さんも同意してくれた。良かった。でも肝心の私自身は、気持ち悪くてあまり食が進まない。
でも何とか我慢して食べると、少しずつ良くなっていった。
食べづわりだと、太りそうだな。産後のダイエットが大変になるから、あまり太りたくない。
「ごちそうさま」
私はとりあえず、普通に一食分位をたべて食事を終わりにした。
いつもよりお腹が空くから、栄養を取られてるのかな?
とりあえず私は明日の支度をすることにした。
財布、タオル、折り畳み傘、鍵、絆創膏を鞄に入れて、ワンピースタイプの服を出しておいた。
スカートなら、脱ぎ着するものが少なくて済む。
電車の時間を確認して、アラームをセット。
これでお風呂に入れば、いつ寝ても大丈夫だ。
「結香、空いたよ」
「はーい」
私はお母さんに声をかけられて、お風呂に入った。
明日のために、しっかり綺麗にしないと。
私は入念に体を洗い、ゆっくり湯船に浸かった。
「はぁ…」
赤ちゃん産まれたら、こんな風にゆっくりお風呂に浸かることもできなくなっちゃうのかな…?
私のための人生って、もう終わっちゃったんだな…。
私は今さらになって、もっと遊んでおけば良かったかもしれないと思っていた。
自分のための人生を謳歌している妹が羨ましい。
まあ、自分が決めたことだから、仕方ないけど。
私はお風呂から上がり、服を着て髪を乾かすと、早めに就寝した。
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