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「椿一族?どんな特殊能力を持っていたんでしょか?」
「うむ。そこまでは何も記されてはおらなかったな。それにしても、晶子さんは凛子の話では剣道を始めてまだ間がないというが、どうしてどうして、あなたの太刀筋や相手の動きを洞察する力は達人の域に到達しておる。自信を持ちなされ」
「でも、どうして晶子は秘剣をつかえるの?」
凛子の問いに対する答えに晶子は詰まった。
「ハッハハ。凛子、まだ分からぬか。晶子さんは生霊族の血を引いておられるのじゃ。そうですな、晶子さん」
「その通りです、玄斉さん。わたしの母が生霊族出身です。父は普通の人間でした…」
「うむ、父上は亡くなられたのか。それはお気の毒に。しかし、だから、晶子さんは普通の人間でありながら、透明人間にもなれるというわけじゃな」
「そうだったの。わたしは晶子にあなたの出生の秘密を無理やりさらけ出させようとしていたのね。ごめんなさい」
「もういいの、凛子。わたしたちはもう友だちだから」
「そうじゃ。今日この場所で我々が見知ったことはすべてここだけのこととして、他言無用じゃ。それが、晶子さんの真心への返礼となる。よいか、凛子」
「はい、お爺さま、そして、晶子」
ここまで三人の会話に入れなかった朋美が、手を挙げて発言した。
「はい、お爺さん、わたしには凛子の姿がDVDで見た座頭市に思えました」
「ハッハハ、朋美さん、それはビデオの見過ぎじゃて」
朋美は赤くなってペロリと舌を出した。それを見て、みんな大笑いになった。
別れ際に、晶子と朋美、凛子はそれぞれ連絡が取れるように携帯の電話番号とメールアドレスを交換した。
「それじゃあ。沖縄で逢いましょう」
晶子が凛子に言った。
「わたしは、そのときちょうど原宿セブンティーンのライブが那覇市で開催されるのよ。でも、あなたたちの出る島嶼サミットの開会式にはリハを少しサボれば出席できるわ。それじゃ、また、沖縄で」
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