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そんな中、私は掲示板に懐かしい名前を見つける。まぁ、懐かしいとは言えせいぜい一ヶ月ぶりぐらいなんだけども。
しかし、何かと流れの早いネットゲームの世界において、一ヶ月というのはかなり長目のブランクと言っていい。
ねぇ、銀ちゃん?ずいぶん久しぶりじゃない!
久々に顔を出していた仲間の名前は銀次郎。通称、銀ちゃん。私たち『ぬこのしっぽ団』初期メンバーの一人だ。
このゲームには『一定の確率で○○できる』という、言わば運次第のスキルが結構ある。
その時のチェイン数などによって確率は変動するけど、結局、運は運なのだ。
でもなぜか銀ちゃんは、そういう“運次第スキル”の成功率がやたら高い。
だから私たちは彼のことを、
『神の手』
『勝利の女神を口説いた男』
『ゲームで運を使い果たした男』
などと、好き勝手に呼んでいる。
いわゆる、いじられキャラでもある。
「ひめちゃん、久しぶりです!サービス続行にもなったし、リアルも落ち着いたし、今日からまたがんばりますよ!」
以前から少し堅苦しいきらいのある銀ちゃんのその書き込みを、私は複雑な思いで読んだ。
確かに、実生活の忙しさもきっとあったんだろう。
でも、たぶん、ホントにたぶんだけど、今日、このタイミングで銀ちゃんが帰って来たのには、何か別の理由があるように思えてならなかった。
すぅ太さんの、脱退だ。
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