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ここ川越では城下町の趣を残す物件を使うと融資が優遇されちゃったりする。
カラカラカラカラ
「いらっしゃいませ!」
ハルちゃんがピョーンと跳んで出た。
「あのぅ、本当に何でもやって頂けるんですか?」
「はいー!何でもさせていただいておりまーす!お値段は勉強させていただいておりまーす!」
興奮するハルちゃんのお尻から尻尾がピョン。すぐにサッチがお尻をひっぱたいた。
尻尾を引っ込めてハルちゃんはてもみしながら、
「で、どんな御用件でしょうか?」
「えっと、引っ越しなんですけど…」
内心3人そろってガックリ。
しかし、そこはハルちゃんの接客で引っ越し日と見積もり日のセッティングをなんなく済ませお客様はお帰りに…。
「なーんだ引っ越しかぁ。」
サッチはデスクに腰掛けて足をブラブラ。
しかし、こうじは逆の反応。
「引っ越しねぇ…。なんかおかしくね?引っ越し業者なんてたくさん有名どころがあるだろ?あの女の人一人分ならレディースパックとかシングルプランとか安くて全員女性スタッフなんて今時珍しくないぜ。」
一瞬にして凍りつく店内。
「安請け合いしちゃったかな…」ハルちゃん、しょぼぼぼぼんです。
「ハルちゃん、ちょっと彼女の書いた文書見せて。」
「浜田愛子26才現住所が……横浜!引っ越し先が川越市内か。ここからすぐじゃない。」
「見積もり日に横浜と川越の両方の物件下調べしとくか。」
ギシッと椅子にこうじが腰掛けた。
「そうね~」とサッチも椅子に腰掛けて腕組みしていた。
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