遠い夏の日

3/6
115人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
『母親失格』 その言葉は秋菜の胸に、深く突き刺さった。 そんなことがあるわけがない… どんな時も母・由紀恵は、娘の秋菜に無償の愛を捧げ、守ってきてくれた。 秋菜がこの世でたった一人の大事な存在であると、ことあるごとに感じさせてくれた。 「ママは母親失格なんかじゃないよ。 私、ママと二人暮らしで良かったって思ってる。 これからはママの幸せを一番に考えてね。」 秋菜は由紀恵を解放したーー 自分は決して不幸な子供ではなかったと伝えることで。 大人も子供の都合に付き合い、苦しい事、我慢する事を重ねなければならないのだと、今、気が付いた。 過去にどんなことがあったとしても、由紀恵は秋菜の唯一無二の人だ。 豪太とは違う意味で。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!