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スポーツマンであり、朗らかな性格の遠藤ジイは児童達はもちろん、職員や児童の親達からも慕われ、人望も厚かった。
しかし、残念な事に、定年退職になって半年後、脳溢血の為、
あっという間に帰らぬ人となってしまった。
「俺、あんなに可愛がってもらったのに、結局ジイさんになんもしてあげられなかったなあ…」
豪太は声を落とした。
秋菜も、ジイさんと会ってみたかったな…と思った。
淋しくなった。
「そういや、ジイさん、北海道の美瑛出身なんだって言ってたな。
美瑛ってスゲー星が綺麗なところなんだって。
夜、一歩外に出ると、ばあって空一面、星なんだって自慢してた。」
美瑛、ときいた秋菜は「えっ!」と驚いた。
「すっごい偶然!うちのママも美瑛出身なんだよ。
でも、もうおじいちゃんもおばあちゃんもお墓もないからママも美瑛に全然帰ってないけど。
私も行った事がないし。」
不思議なことに由紀恵は秋菜の父親の話はしないが、帰る家のない生まれ故郷の美瑛の話はよく聞かせてくれた。
「ママは私のお父さんは、私が生まれる前に死んだっていったけど、本当のところは違うんじゃないかって思うの。
何があったのかわからないけれど…」
「由紀恵さん、苦労人だなあ。
あんなに綺麗な人なのに…
もろ昭和ムード歌謡曲の世界。」
美瑛に行ってみたいな…
秋菜は思う。
暗闇の中で豪太と目が合った。
豪太も同じことを考えている気がした。
「…案外、遠藤ジイと由紀恵さん、友達だったりしてね…」
冗談を言いながら、豪太が自分の掛け布団をよけ、秋菜の布団に入り込んできた。
「歳、違うって…」と笑いながら言いかけた秋菜の唇は豪太のキスで塞がれた。
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