峰岸 佑太 その6

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 もちろん、オレを敵対視するデブはそれに気づいた。  そして不正をするのだから、当然、あっちが生き残るのだろうと確信する。根拠もないのに、それだけで。  オレは疑われないように、精一杯悔しがるだけだ。 「やったー、ボクは生き残りだ!」  嬉々として、デブは向こう側に入っていく。  きっと両面とも花の絵が描かれたコインを隠し持って。  あとは誰が出すか運否天賦だろう。  生きるか死ぬか、それがいともたやすく決まる。  裏を出したものは死ぬと思い込み、落ち込み、表を出したものは生きれると思い込み、喜ぶ。  本当は反対なのに。
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