峰岸 佑太 その1

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「うぅ~……やめて、って言ったじゃない」 「ですが、ご本人様が選択したことです」  副会長は項垂れるしかない。ここで男にやつあたりで暴力を振るっても、自分の身が危険なだけだ。それはつまり、副会長は自分の身が安全な範囲でしか他人の心配をしないということの証明でもあった。なんて偽善的だ。 「さて、上に参りましょうか。この部屋の片付けもありますのでね、ここでグダグダされても困りまるのです。そうですねぇ、3分以内、3分以内に上の階に来てください。それ以外の方はリタイアと見做します」  そう言って男は階段を上がっていく。オレもそれに続く。小川に最上、繁山、宮沢、副会長も上がっていき、その後ろには『怠惰』を選んだ生徒たちが続いた。  錦田がリタイアしたせいか、それ以外にリタイアした人間は現れなかった。
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