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「ぐひひ、誰かそいつを押さえ込んで、コインを奪えよ」
「おい、ふざけるなよ。オレは公平だと言っただろ?」
最初から公平という言葉を疑っていた何人かが、デブの言葉に煽られ、オレの苦し紛れの言葉に疑念を膨らませ、オレを押さえ込む。
「やめろーーーー!」
オレは必死でコインを守ろうとするが、デブに奪われてしまう。
「ぐひひ、やっぱり! こいつ、どっちも花の絵があるコインを持ってた! ほら、これ見てよ!」
そう言って周りの連中にコインを見せる。
「くそっ!」
「こいつとその手下にはコイントスさせないほうがいいね、不正を働いたんだ。お前たちはここで死ね。死ね、死ね」
「あ、さっきのコインあった」
押さえ込んでいたひとりが、デブたちに見せたコインを見つける。
「よーし、これでもう一度コイントスをしよう。もちろん、あいつらを除いてね。これで本当に公平に誰が生き残るか決めよう」
そう言ってデブはオレから離れていく。2枚のコインを持って。
たぶん、あいつは表裏とも花の絵を使ったコインで、向こうの部屋に行くだろう。
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