岸和田 清 その1

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 くそっ! 番場のくせに調子に乗りやがって、と思う。委員長が生きていれば番場は調子になんて乗らなかった。暴力なんてかっこ悪い(笑)みたいな風潮ができあがっていたのに。  だからうちの学校で、筋肉バカっていうのは、嘲笑の象徴で対象だった……のに。  それが委員長の死亡であたかも崩れた。  そのせいで、僕は殴られている。ふざけんな。  睨み返そうとしたら、それが分かったのか番場はまた僕を殴る。殴り続ける。「すっきりしたぜ」という頃には僕はぐったりしていて、それでようやく、 「おい、ご指名だとよ」  と副会長にそう言って、副会長は歩き出す。 「おい、何、服着ようとしてんだよ」 「え、でも……」 「そのまま行けよ。命令だ。殴られたいのか?」  番場はそう脅して、僕を殴る。その光景に萎縮した副会長は拳を強く強く、出血してしまうんじゃなかろうかってぐらい強く握り締めて、僕のほうへと向かってくる。
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