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初めに言おう。
俺はごく普通の男子高校生 夢来 叶人(ゆめくら かなと)『だった』。
え、なぜ過去形なのかって?
それは、俺も自分で言いながら不愉快な話、今の俺はごく普通の『女子高生』だからだ。
何故そうなったかって?それは俺と同じく、女子高生『だった』『男子高校生』の柳丘 雪葉(やなおか ゆきは)と俺が、偶然出会った夜にまで遡る---------
ある日、俺は何時もと同じく学校へ行き、何事もなく友達と駄弁り、何も考えず帰路に着いた。
帰りは特に一緒に帰る奴なんていない。
たまに寄り道に呼ばれるくらいだ。
そして面倒くさいことにうちの学校は駅が近いのとチャリ置きが設備されてないせいでチャリでの通学は禁止、さほど大人数が好きな訳でもない俺は1人寂しく徒歩で帰宅って訳だ。
そして帰っても特にすることもない暇人な俺はよく帰り道途中の河原で寝る。青春だろ?
ここまではいい。問題はここからだ
「…ん…やべ…寝すぎちまったか…。」
時計を見ると10時ちょっと過ぎ、日は沈んで空には白く光る半月が上っていた。
「…帰るか。」
運良く一人暮らしの俺は親と言う呪縛にとらわれずスムーズに帰宅出来る。あぁよかった。
「よっと……ん?」
立ち上がって河原の上を見ると、そこには長い黒髪の女が座って読書していた。
月光に照らされたその顔は、すっとした輪郭がより可愛く、綺麗に見えた。
「ん?おはよう、夢来君。」
おいおい、知り合いかよ…
「あー、確かクラスメイトの。」
「雪葉だ」
「おーそうそう。柳丘さんだったな。」
そうだった、うちのクラスの孤立神、一匹狼な柳丘雪葉だ。
「なにしてるんだ?こんな時間に」
「見てわからないか?読書だが。」
「いや、そりゃわかるけども。」
なんとなく流れくらい察してくれると嬉しい。
「…なんとなく出歩いて月明かりで本を読んでようとここに来たらたまたまお前がいただけだ。」
お、察した。
「そうか。俺は今から帰るが、柳丘さんは帰らないのか?」
「そうだな、正直全く文字が読めないし、帰るか。」
なら何故外に、と言おうとしたがまぁそこは触れないでおこう。
柳丘さんも立ち上がったので、俺は別れの一言「じゃあまた明日」と言おうと口を開けようとした時
「わっ!?」
柳丘さんが見事に前に滑った。
勿論前には俺。避けるのもありだがそれだと男としてどうなんだ?
って事で、俺は男らしく、彼女を受け止めたさ。
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