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「ノボルちゃん、おなかすいた」
「コダマ、見ろ、これが我が家の必殺家計簿だ」
「秋の夕陽より真っ赤だね」
「おう、良く気づいたな、血まみれだ。それというのも」
「おなかすいた」
山田家では良くあるやり取りだ。
けれどもコダマだって、好きでこんな体質になったわけではない。
いつ頃気づいたのだろう。
他の人は物の言葉を聞くことはできないし、口に出さない人の思いなど、感じ取ることができないなんてこと。
何故か、力を使うとやたら腹ぺこになることも。
コダマの気持ちをわかってくれるのは、同じ力を持つ祖母のサクくらいだ。
両親も姉妹も愛情深い人達だ。
コダマの力を知っていても、とても可愛がって慕ってくれた。
それにも関わらず、コダマはどこか言いようのない孤独感を抱えていた。
父親が興した会社が倒産し祖母と暮らすことになった時、コダマは心底良かったと思ったものだ。
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