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祖母のサクから一通り、茶道に華道に書道まで仕込まれたコダマだったが、それが実を結ぶことはなかった。
「面倒事を頼まれるだけだよ。世間から仕事として認められることもない」
そう言われた占い師をコダマは選んだ。
選んだとも言えない。
不器用な上に、人や物に触れると飛び込んでくる声なき声から逃れることが難しい。
多分そうするより他になかったのだ。
皮肉なことだが、ここ十年で占い師としてのコダマの評価は高くなっていた。
決して表に出ないにも関わらず、客が途絶えることはない。
「ありがとうございました、あなたに会えて良かった」
一人の女性客が、去り際に微笑みながらコダマに頭を下げた。
哀しい笑顔だ、そうコダマは思う。
真実が人を救うとは限らない。
むしろ知らない方が楽に済ませられるのに。
きるきるきるきる。
コダマの腹から異音がした。
さっき食べた大盛親子丼三杯も、既にどこかへ消えてしまったようだ。
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