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「ノボルちゃん、おなかすいた!」
コダマは、昼寝を楽しんでいるノボルを手荒く揺さぶった。
「……さっき食ったのは何だ」
「軽い昼食の親子丼です、親肉ちょっぴりの」
「丼三杯は軽くないし親肉言うな。そこのバナナでも食ってろ、ゴリラみたいに」
面倒臭そうに、ノボルは背を向けて昼寝の続きを貪った。
「むーん」
口を尖らせて、コダマはバナナの房を手に取った。
ノボルの台詞は気に入らないが、腹を満たすのが先である。
10本ほどを胃に収めた時に悲劇は起こった。
「ああ、バナナちゃんが」
良く熟れた果肉が、ポロリと折れて台所の床に転がった。
摘み上げると、うっすら埃をまとっている。
軽く二、三度振ってみたが、これはコダマの許容範囲ではない。
「ノボルちゃん、バナナあげる」
半ば無意識に開けたノボルの口に、三秒ルールを無視したバナナが押し込まれた。
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