Side 和斗  新しい人生

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「え?  あ、知り合いかと思ったんだけど違ったみたい」 「そう。 それにしても寒いねー」 その身を少し震わせて、朋佳は俺の左腕にしがみついた。 「…旦那に怒られるぞ?」 「和斗相手に怒らないでしょ。 不倫してる訳でもあるまいし。行こ!」 やっぱり今日の朋佳に違和感を感じた。 「パーカー、着る?」 「こっちの方が暖かいからいらないよ。 あ、彼女に怒られるか」 「彼女なんて居ないよ」 「じゃあいいね」 朋佳に腕を取られて足を進めた。 朋佳と会話をしながらも、俺の頭の中はすれ違った男女の事でいっぱいだった。 もし佳春と夏美だったとしたら…。 どうしてこんな時間に佳春が居るんだ? と言うより、なぜ夏美と? 「和斗、まだ飲むのー?」 「姉ちゃんこそ、もう終わり?」 酒を大量に買い込み、部屋で二次会。 どれだけ体内に酒が入っても、あの後ろ姿が頭から離れずにいた。 そんな俺とは正反対に、朋佳は今にも夢の中へと旅立ちそうだった。 「しょうがないから付き合ってあげようか」 「無理しないで寝たら?」 姉弟で酒を酌み交わすなんて久しぶりすぎて楽しかった。 言葉と表情が合っていない朋佳を見ながら笑みが零れる。 「無理なんてしてないよ。 流石夜働いてるだけあるね~。何て店に居るの?」
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