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翌日。
友人に貰った励ましの言葉のお陰で、気分はスッキリしていた。
多少のモヤモヤは有るけれど、そんなのは気にならない。
店に居た客も帰りグラスを洗っていると、修二が口を開いた。
「今日はもう閉めるか」
「そうですね」
いつもより少し早い閉店。
こんな日があっても良いだろうと、あまり気にしていなかった。
「マスター、そっちのグラス取って貰えます?」
「……」
修二に声を掛けるが反応がない。
見ると流れる音楽に集中している様だ。
♪~~
思い出ひとつも残さずに
明日出て行こう
絆は愛を求めて
泣き声を上げるけど
♪~~
ねぇ 僕たちは きっとどこかで
少しだけ何か 間違えたかな…?
ーーー? 何か有るのか…?ーーー
「マスター?」
「ん? 悪い、ボーッとしてた…。これか?」
「何か有ったんですか?」
「ん? 何もないよ。
後は俺やるからあがっていいぞ」
目を合わせようとしない修二を見つめながら、少しだけ心が痛むのを感じる。
「…そんなに頼りないですか?」
「え?」
『もしも修二に傷があるのなら
少しでも軽くしてやりたい』
その一心で言葉を探す。
「マスター、ずっと悩んでるの解ってたけど、話してくれるの待ってた。
俺には言えませんか?」
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