Side 和斗  真実

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「俺ずっと…和斗に嘘吐いてた。 俺が不倫した事有るって言った時昔の話って言ったけど…。嘘なんだ」 「…え?」 大きく波打つ鼓動が体中の熱を奪い去り、目眩さえ覚えた。 頭が真っ白とはこの事か…。 「あの時俺…、不倫してた…」 「…嘘だろ…?」 『冗談だよ』 なんて、いつもの笑顔で笑い飛ばして欲しい。 心が落ち着く様な優しい声で、この鼓動を沈めて欲しい。 そう願う俺を新たな衝撃が襲う。 「嘘じゃない。俺…、あきと不倫してた…」 「…は?」 「…騙してごめんな。ずっと言えなかった…」 「…秋恵と…?」 修二は黙って頷いた。 何も考えられない頭に浮かぶのはあの日の会話。 『…結婚してるから…、その人』 『もうその人と会うのもやめなくちゃって… 思ってる…』 修二の事だったのか…。 「何で…、嘘ついた?」 「不倫って言葉で片付けたくなくて。 本気だったから…」 今にも泣き出してしまいそうな修二を見ながら、 ある事に気が付いた。 “あきと不倫してた…” “本気だったから…” 「…何で修さん、全部過去形なんだ?」 ーーーもしかして…ーーー
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