Side 和斗  真実

15/16
前へ
/242ページ
次へ
「…何日か前、サヨナラって言われたんだ。 もう…2人で会う事もない」 「そっか…。 まだ修さんは秋恵の事好きなのか?」 「…忘れる訳ない…。 これからもずっと…愛してる…」 ーーーやっぱり別れたのか…ーーー “遅過ぎる出逢い”は時に残酷なもの。 どんなに愛していても他の人の者では、出逢ってしまった事すら恨みたくなる。 昔、誰かが言っていた言葉を思い出した。 『神様は   その人の人生に無駄な出逢いは与えない』 『必ず何かしらの意味がある』 こんな悲しい結末を迎えても、そんな事が言えるだろうか。 「修さんが結婚してなければ応援したかったよ」 「俺…、離婚しようと思ってる」 「は?」 「あきを迎えに行きたくて。 でももう行けないから俺は独りになるよ」 修二がそこまで本気だった事に、俺は言葉と動きを失った。 どうしてだ? 不倫なんて妻にないものを恋人に求めて、家庭円満になる為の快楽じゃないのか? 少なくても俺はそう思っていた。 修二は俯きながら酒を流し込んでいる。 その姿を見ながら少しずつ、でも確実に怒りはこみ上げる。 「…バカだよ…」 「ん?」 「修さんバカだよ! 何で家庭捨てるんだ!? 奥さんと子供捨ててまで秋恵と一緒になりたいの!?」 生まれた怒りは、俺の中だけに留めておく事が出来なかった。 ーーー不倫なんて…      “遊び”なんだろ…?ーーー 「言っただろ、本気だって。 本気であきを愛してるから、俺はもう夫も父親も失格だよ」
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89人が本棚に入れています
本棚に追加