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言ってやりたい事は沢山ある筈なのに、言葉が出てこない。
奥さんだって本気で愛してたんだろ?
俺にはよく解らないけど、自分の血を分けた子供を手放そうとするなんて…。
それでもいいと思える位秋恵が好きだって事か?
秋恵と一緒になれないけど、他の人の元に心がある自分を許せなくて離婚するって事?
ーーー…もう、解らない…ーーー
乾いた体に酒を流し込んだ。
今は一番言いたい事を伝えよう…。
「俺、修さん大好きだし尊敬してるよ。
秋恵にも幸せになって欲しいから応援したいけど…。
今は出来ない…」
「解ってるよ。
理解して欲しいんじゃなくて、和斗にはもう嘘吐いていたくなかった。
ちゃんと話すって約束したしな」
作りきれていない偽物の笑顔を浮かべて、白い煙を吐き出した。
どれだけ悩んで苦しんで、その決断に至ったのだろう。
俺には解らない位辛い思いをしたんだろうな。
修二の事は本当に大好きだし、尊敬している。
アンタの心が軽くなるなら、何でもしてやりたい。
だけど…。
「修さんはそれでいいのか?」
「…あきが決めた事だから…。これでいい」
「そっか…」
どんなに愛し合っていても自分の元に戻って来ない女を想って、己の全てを捨てるなんて…。
ごめんな…。
やっぱり俺には理解出来ないよ…。
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