Side 和斗  新しい人生

3/13
前へ
/242ページ
次へ
「私、引っ越すんだ。今日」 「は? 引っ越し!? 今日!?」 ーーーいきなりのその展開は何だ…ーーー 突然告げられた報告に驚き、秋恵の言葉をそのまま繰り返してしまった。 佳春とやり直す事にしたのか? それとも…? 「うん。佳くんと一緒に暮らすんだ」 「佳春さんと!?」 「うん。佳くんとやり直す事にした」 「そっか…。戻ったのか…」 修二が離婚しようとしている事を知らないのか? もしそうなら俺はその真実を言ってはいけない。 でも“修二と秋恵がうまくいって欲しい”と思ってる自分が居た。 佳春よりも修二の方が秋恵を笑顔に出来る事は解っていた筈なのに。 “不倫”という罪の恋に隠して、気付かないフリをしていただけだったな。 「うん。 ごめんね、色々迷惑掛けたのに言えなくて…」 「びっくりしたけど迷惑なんて思ってないし」 「ありがと。もう一回佳くんを信じてみる」 この言葉を聞いた瞬間、なぜか“素直にならなきゃ”と思った。 日陰の恋で、泣いて悩んで苦しんで…。 だけど辛い思い出にはなって欲しくなかったんだ。 心の扉に鍵をしてしまった2人の愛。 誰にも言えなかったけど、応援してる奴がいた事を解っていて欲しかった。 「…俺、ようやく応援出来そうだったんだけどな」 「ん?」 「…修さんに全部聞いた」 「え?」
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89人が本棚に入れています
本棚に追加