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修二と秋恵が別々な道を進み、新しい人生をスタートさせてから半年近くの月日が流れた。
俺達は互いの恋愛の事には全く触れず、ただ過ぎてゆく時間。
晴花が遠くに行ってから、もう1年半が経つ。
あの日修二が言っていた通りだ。
2年なんてあっという間だな。
もう俺の事なんて忘れてしまったかな…?
俺は今も晴花に会いたくて仕方ないよ…。
会って謝りたいんだ。
『あの時気持ちに応えてやれなくてごめんな』
って…。
♪~~ 着信中 姉ちゃん
「…はい?」
『和斗? まだ寝てたの?』
着信の音楽が、夢の世界から現実へと意識を引き戻した。
すると同時に聞き覚えのある声が頭に響き、少しずつ目が覚める。
時計を見ると朝9時前。
俺、夜働いてるんですけど…。
「…寝てるわ。何?」
『和ちゃん、冷たいのね』
「…用事ないなら切るぞ」
電話の相手は大橋朋佳(オオハシトモカ)。
俺の4つ上の姉だ。
『ある、ある! 今日夜仕事?』
「休みだけど?」
『今日そっち行くからご飯食べに行こうよ!
で、泊めて?』
「はぁ? 旦那は?」
結婚して4年位になるが、朋佳が1人で来るなんて初めてだった。
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