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『出張で一週間位居なくて。2泊位させて?』
「2泊って…。
今日はいいけど、明日は俺仕事だぞ?
姉ちゃん夜1人怖いんじゃ…」
小さい頃、部屋が別々になっても“1人になるのが怖い”とよく俺の部屋で寝るような姉だった。
『いつの話してるのよ!
とにかく行くから、駅着いたら迎えに来てね』
「車じゃないのか。解ったよ」
電話を切ると、無音の空間が俺を包み込んだ。
突然来るなんて、何かあったのだろうか。
少し疑問に思ったが、あまり深く考えずに二度寝する事にした。
暫くして連絡が入り朋佳を迎えに車を走らせた。
「おまたせ」
「遅い。二度寝したでしょ」
「普通着く前に電話よこすだろ。
着いてから電話するから待つ事になるんだぞ」
頬を膨らませながら朋佳は助手席に乗り込んだ。
「久しぶりに会った姉に厳しいなぁ…」
「あ、ごめん…」
ほんの一瞬、朋佳は俺から目線を外した。
その顔は俺の中で“違和感”として残る。
ーーーやっぱり何かあったのか?ーーー
「コーヒー飲みに行きたいなぁ」
「…はい、お姉様」
ーーー相変わらず勝手だな…ーーー
気のせいだという事にしておこう…。
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