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「ONEってお店。
マスターが格好良くてさ! 尊敬するよ」
「へぇ~。
和斗が人に心を許すなんて珍しいね~」
「冷血人間みたいに言うなよ…」
朋佳が新しい缶を開けたのと同時に、修二の事を話し始めた。
朋佳が言う様に、こんなにも心を許せる存在になるなんて…。
出逢った頃には思ってもいなかったな。
相槌を打ちながら、少しずつ朋佳の視界は狭くなってゆく。
「姉ちゃん、寝たら?」
「うん…、そうする~。和斗は?」
「これ飲んだらソファで寝るよ。おやすみ」
「うん、おやすみ~」
フラフラと壁をつたいながら寝室へと姿を消した。
部屋に1人取り残された俺は、今日1日を振り返る。
突然朋佳が来てショッピングに付き合わされて。
ご飯を食べに行って、所々朋佳の発言に違和感を覚えて。
佳春と夏美に似た人を見かけて…。
もし本当に2人だったとしたら、まだ別れてないって事か?
それとも今度は偶然会って、ご飯を食べに行ったのか?
どちらにせよ、もう一度佳春を信じようとしていた秋恵の想いは…。
どこかに行ってしまうだろうな。
今日見かけた人達が本当に2人だと確信がないままでは、誰にも言えないよな…。
どうかもう、秋恵の笑顔が曇りませんように…。
そう願ながら意識を手放した。
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