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「いらっしゃいま……」
「言葉が足りなくて悪かったわね」
「……何で来るかな……」
「??」
ONEの扉を開けたのは朋佳だった。
腕を組んで頬を膨らませ、俺達の居るカウンターに近付いて来る。
「あ、マスターですか?」
「はい…?」
「大橋朋佳です。
弟がいつもお世話になっています」
「あ、和斗の姉ちゃん! こちらこそ」
修二に笑顔で挨拶をし、腰を降ろした。
俺を見る視線は鋭く痛い。
「…怒ってますか…?」
「いいえ。姉ちゃん好きなんでしょ?」
「…どっから居たのよ…」
ーーー防音設備整えた方が…ーーー
昨日一度店の名前を言っただけで来るとは思わなかった。
もうすぐ日付が変わる時間。
よく知らない街を女1人で歩いて来たな…。
「朋佳ちゃん、ビール?」
「あ、はい。お願いします」
もしかして家で1人で居るの、本当は怖かったんじゃ…。
「「「カンパーイ!」」」
大好きなグラスの音で3人の夜は始まった。
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