Side 和斗  笑顔に隠した涙

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翌日。 なぜかあまり眠れず、いつもより早く目が覚めた。 寝ていたソファに体を起こし、意識を呼び戻す。 すると人の気配がしない事に気付いた。 「? 姉ちゃん?」 目の前のテーブルの中央には1枚のメモが置いてあった。   和斗へ    急に来たのに    何も言わず帰ってごめんね。    ありがとう                朋佳 「…勝手な奴…」 朋佳の文字を見つめて笑みが零れた。 発信中  姉ちゃん 『もしもし?』 「本当、勝手な奴だな。 待っててくれたら、駅まで送ったのに」 『もう起きたの? 待ってれば良かった~』 電話口から聞こえる朋佳の声に、もう違和感は覚えない。 「黙って帰るからだよ。もう着いた?」 『もうすぐ着く。…ねぇ、和斗?』 「ん?」 『本当にありがと。元気出た』 「良かった。またな」 本当は俺と顔を合わせるのが照れくさかったのかもしれない。 朋佳が元気になったように、俺も心が晴れたんだ。 なぁ、修二? 『ちょっと休んであっきを迎えに行くタイミングを待ってるんじゃない?』 朋佳の言葉を信じてもいいよな…?
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