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俺は修二の様に強くなれないよ。
『晴花』と声にしてしまえば今も胸が苦しくなる。
♪~~
短い針と長い針が
重なり合うその刹那にまた
いつか僕らは出逢うだろう
全て許すような笑顔で
「…修さん?」
「ん?」
「時計って不思議ですよね…」
「…はい?」
壁の高い所に居場所を定めている時計を映した。
少しずつ、でも確実に時を進めている。
「進む速さが違うのに、12時には必ず重なり合うでしょ?
急いで遠回りしてる俺と、堅実な道を確実に歩いてるアイツみたい…」
「…晴花ちゃんか?」
声にならず、黙って頷いた。
「道は違っても目的は同じなんじゃないか?
12時には逢えるんだからシンデレラみたいだな」
「…シンデレラは12時に魔法が溶けるんですよ」
「アハハッ そうだったな!」
真顔で言うから危うく納得する所だった…。
「大丈夫。
俺は出来なかったけど、和斗は晴花ちゃんを迎えに行ってやれよ。
遠くから想ってるだけじゃ伝わらないぞ」
「…はい」
やっぱり修二が言うと、全てが現実になるようで信じられる。
だから『俺は出来なかったけど…』なんて、過去形にしないでくれよ…。
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