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街の木々が赤や黄色に染まっていた季節からまた姿を変えた。
白くなり長い冬を迎え、新しい季節を待っている。
そして夏を迎えても秋恵の事は話題にならなかった。
あの日俺は修二に願いを伝えたんだ。
『秋恵は修さんと幸せになって欲しい』
どんなに時が流れても、俺には待つ事しか出来ないよ…。
「なあ、和斗?」
「はい?」
「ちょっと用事思い出したから、悪いけど店任せていいか?」
「? いいですよ」
「悪いな。すぐ戻るから」
「はーい」
修二が出勤してから30分。
店にはさっきまで居た団体が帰ったばかりで、狭いカウンターにはグラスの山。
出掛ける時はいつも片付けてから行くのに…。
ーーー何か急用だったのかな?ーーー
特に気にする事なくグラスを洗い終えた時だった。
ーーカランーー
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