Side 和斗  タイトル未定

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「いらっしゃ… 秋恵! 久しぶりだな、元気か?」 「久しぶり。元気だよ」 ONEの扉を開けたのは秋恵だった。 近くに居た頃と何も変わらない。 ただ、痩せてしまった笑顔が少し辛いな…。 「良かった。何にする?」 「じゃあ、ビールで」 あの頃していた様に、左端の席に腰を降ろした。 そうか…。 だから修二はいつもこの席に座って居たんだ…。 「今日は帰らないのか? 俺んとこ泊まる?」 「いいの? ありがと」 今日店に来た目的を知らない俺は、軽々しくそんな事を口にしていた。 仮にも佳春の彼女なんだよな…。 「なしたの、今日。1人か?」 「うん。実は…修に呼ばれて…」 「そっか。もうすぐマスター帰ってくるから。 秋恵…、大丈夫か?」 「うん、大丈夫。 知ってると思うけど修が来たらちゃんと話すから…」 「うん」 この時“知ってると思うけど…”と言ったのは、佳春の浮気の事だと思っていた。 それが本当だと信じて疑わなかったんだ。 「「カンパーイ!」」 「運転疲れたろ?」 「うん、疲れたー」 「よく長距離乗らないお前が車で来たよ」 「何度かずに迎えに来て貰おうかと思った事か」 本当、あの頃と何も変わってないな…。
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