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「結婚したんだな…。夏美ちゃんと」
「…うん」
ーーーは!? 結婚!?ーーー
今度は言葉を失ってしまった。
「それであきが別れたんだと思って…電話した」
「…結婚って…、佳春さんと…なっちゃん?」
「他に誰が居るのよ。
今佳くんと別れたって言ったでしょ?」
「いや、そうなんだけど…。確認しただけ…」
何の為に修二は秋恵を諦めたのか。
何の為に秋恵は修二を諦めて佳春を信じたのか。
ただ辛く、孤独の涙を流す為か?
どうして罪の意識のない者達が幸せになる…?
「…私、意地張ってただけなのかも。
佳くんと別れたらこうなる事は心のどこかで解ってたんだと思う。
…あの2人が上手くいかなきゃいいって思うのは、やっぱり私が子供だからなのかな…」
「そんな事ないんじゃない?
“別れた相手の幸せを願う”なんて、俺からしたらキレイ事だよ」
「…ありがと」
寂しそうに話す秋恵に俺はフォローの言葉も見つからなかった。
すぐに救いの手を差し伸べられる修二は、やっぱり尊敬するよ。
「俺も…なんだ。…離婚した…」
「…え?」
突然の修二の告白に、俺達を包む空気が止まった。
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