第5章 クールラント一族

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「そうでしょうか? 僕より優秀な養子を迎える良い口実になるのではありませんか?」 ルシエルはつきはなした口調で言う。 「まあ、なんてことを‥‥。 昔はあんなにわたくしを慕ってくださったのに。 でも、これも成長の証と受けとめなくてはいけませんのね。」 (ただの反抗期、そう言いたいのか。) ルシエルは廊下を進む。 食堂にはすでに花が飾られていた。 久々に屋敷の主人を迎えての晩餐の支度が、滞りなく進められている。 マントルピースの上には、先日の競技会での成果である弓技の部の優勝旗が飾られている。 刺繍された名前は無論ルシエルのものだ。 ルシエルは複雑な気持ちでそれを眺めた。 この旗を受け取る自分の手は、不正で汚れていたと思う。 しかし、それがなんだ。 ルシエルの中で叫ぶ声がある。 一番でなければ、自分は父親に存在さえ否定されるのだ。 きれいごとなど弱者の論理だ。この世の中は残酷なのだ。 (エリオット一人を汚い手で蹴り落としたくらいがなんだ。 みんなやっていることじゃないか。)
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