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「さあ、なんのことでしょう。
わたくしは、この家の使用人として、ご家族の皆様をお守りしたいだけです。
クールラントの家名を傷つけるようなことは見過ごせませんわ。」
エレノアは勝ち誇った様子で高飛車に笑い、階段を下りていった。
ルシエルは唇を噛んでその場に立ちつくした。
ルシエルは父親と晩餐の席についていた。
金彩を施した食器類に、磨きぬかれた銀のカトラリー。
シャンデリアからの光りの玉が、小さな虹の粒となって手元を照らす。
食卓の真ん中には、手の込んだ織り模様のランナーを敷いた上に季節の花が色彩を添える。
食卓に着く人々の視界を遮らない、主張しすぎぬ高さに活けられていて、華やかながら洗練された印象だ。
テーブルを囲むのは、この家の主人にして王国の東部デボンス郡、保安部隊捜査本部部長、クールラント中尉。
そして、嫡男、ルシエル。
そして、空の席が一つ。
本来ここにいて、ひときわ華を添えるはずのクールラント夫人の姿は無い。
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