第5章 クールラント一族

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クールラント卿は何も言わずうなずいた。 「シャルマン公が、お前の自警団の働きを褒めてくださった。 上級士官学校への推薦状を書いてくださるそうだ。よかったな。」 にこりともせず、そう言うと、ぐい、とグラスを傾ける。 ルシエルはうかがうように父親の顔を見る。 今、自分は褒められたのだろうか。 確信が持てず、問い返す。 「僕は‥‥僕は、この家にふさわしい息子になれているでしょうか?」 声が震えを隠せない。 「無論だ。」 柔らかな声音に、ぱっとルシエルは顔を上げる。 しかし、父と目が合うことはない。 その視線が捉えているものは、自分ではなく後のエレノアなのだとすぐに気づく。 「それもすべて、エレノアにお前の養育をまかせたおかげだな。」 父が今日初めて口元を緩めるのを、ルシエルは冷めた目で眺める。 年をとっても、貴族らしい威厳を持ち、雅やかな笑い方をする。 「もったいないお言葉ですわ。」 エレノアは、待ってましたとばかりの艶めいた声で、賛辞を受ける。
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