第5章 クールラント一族

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意味ありげに微笑み合う二人は、とても美しく良く似合っている。 ルシエルでさえもそう思わずにいられない。 もともと父親と母親が貴族同士の政略結婚であったことなど、ルシエルは百も承知だ。 愛なんてこの家族には、始めから存在しなかった。 ルシエルはそれを哀しいとは思わなかった。 自分は何も失っていない。 最初から無かったものを失うことなんてありえない。 ただ‥‥わからないだけなのだ。 この説明のつかない、ひりつくような餓え(かつえ)を、どうやって押し殺せばいいのかが。 そんなルシエルを見透かすように、エレノアが微笑みをむける。 嘲笑だ。 兄弟でもいたら何か違っていただろうか、と時々ルシエルは考える。 こんな餓えも苛立ちも、わかちあえるのだろうか。 互いを支えあい、庇いあうことができただろうか? (いや、俺一人で充分なんだ。 こんな思いを抱えて生きるのは。) 「ルシエル、くれぐれも慢心するんじゃないぞ。 これからは、私とシャルマン公、両方の顔に泥を塗ることになるんだからな。 家名に恥じるような成績は残すなよ。」
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